ヘルクレス座(Hercules)
ヘルクレスの絵(作成中)
面積 :1225平方度
20時南中月日:8月5日
固有名を持つ星:α星=ラス・アルゲティ「ひざまずくもの」
β星=コルネフォロス「こん棒を持つもの」
δ星=サリン
κ星=マルファク「肘」
λ星=マシム
ω星=クヤム「こん棒」
全般
全天で5番目に大きな星座。
近所の星座
北にりゅう。北西にうしかい。西にかんむり。南西にへび。南にへびつかい。南東にわしとやとこぎつね。東にこと。
神話(第一章)
ディズニーがアニメ化してしまうほど有名な英雄。どちらかというと知性的ではなく、短気で、見境が無く、いろいろな失敗をして、その度に後悔する英雄だった。人間として生まれ、神になる為に、不幸な人間としての一生を終えた。しかし、その後、神となって、ギリシア中から絶大な支持を得ることとなる。
例によって、ゼウスがアムピトリュオンが家を留守にしている間に、アムピトリュオンの姿を借りて、その妻アルクメーネと交わった。ギリシア神話はこんな話ばっかりだ。生まれた子供がヘルクレスとイピクレス。ちなみにアムピトリュオンはこの時、テバイの町の狐を退治したりしている(おおいぬ座の神話を参照)。
例によって、ゼウスの妻ヘラは怒って、ヘルクレスを殺そうと毒蛇を送り込む。まあ、ここまではありきたりなギリシア神話の黄金パターンだ。しかし、まだ赤ん坊のヘレクレスはこともなげに、この毒蛇を握り殺してしまう。
別の話では、ヘルクレスは「偶然に」ヘラの乳を吸う機会があった。しかし、ヘルクレスがあまりにも強く吸ったため、ヘラは痛がって、ヘルクレスを払いのけた。この時、乳がほとばしって、天の川("Milky way")ができた。
ヘルクレスは修業して、成長した。そして、ライオンを退治したり、ミニュアス人を成敗したりする。まあ、水戸黄門みたいなものかも。この過程で、ちゃっかり、メガラという妻をめとる。
神話(第二章)
ここからが有名な十二の偉業の話である。
1.ネメアのライオン
どんな武器をもってしても傷つけることのできないライオンと洞窟の中で30日間格闘して、生け捕りにした。ヘルクレスはライオンを担いでミュケナイに戻ったが、エウリュステウス王は気味悪がって、ヘルクレスを城門から中に入れず、遠くから眺めるだけにした。このライオンはゼウスの手によってしし座になった。
2.レネルの水蛇ヒュドラ
死者の国アルゴスの入り口の番人は蛇だった。この水蛇はエキドナの子供であり、冥界の番犬ケルベロスや黄金の林檎を守る竜の兄弟である。この水蛇にはたくさんの頭があったらしい。5とか、12とか、9とか、50とか、100とか。良く判らない。しかも一つは不死で、しかも1つを切ると、2つ生えてくるらしい。
ヘルクレスは鎌を持って水蛇に挑むが、切っても切ってもきりがない。そのうち水蛇に片足を捕まってしまう。さらに巨大な蟹が現れて、もう片足を挟まれてしまう。ヘルクレス危機一髪!
そこで、ヘルクレスは甥のイオラオスに助太刀を頼む。ヘルクレスはまず、蟹を踏みつぶし、次に水蛇の首を切った跡をイオラオスに焼かせた。こうして、水蛇の首はだんだん減ってゆき、なんとか水蛇退治は終了した。
その後、この蟹はかに座となり、水蛇はうみへび座となった。なお、みずへび座というのがあるが、この神話とは関係ないようだ。
3.ケリュネイアのメス鹿
いきなり、鹿である。あんまり怖くない。メス鹿のくせに角があった。しかも黄金の角。一説ではアルテミスの聖獣。
ヘルクレスは一年かかってこの鹿を追い回して、なんとか生け捕りにする。アルテミスねーちゃんに見つかって怒られたりするが、なんだかんだと言い訳して、許してもらう。
4.エリュマントスのイノシシ
鹿の次は猪である。花札みたい。
ヘルクレスはまたあちらこちらを旅する。この旅の途中で、ケンタウルスの酒をのんだりする。(ケンタウルス座を参照。)
猪狩り自体は、雪の中に罠を仕掛けて、猪を生け捕りにして、あっけなく終わった。
5.ステュンパロス湖畔の鳥
ステュンパロス湖畔では鳥が多くて、住民が困っていた。ヘルクレスは大きな音を立てて、鳥を追いだし、弓で射落とした。つまんない話だ。おしまい。
6.アウゲイアスの家畜小屋の掃除
だんだん、話が地味になっていくような気がする、、、。ついに掃除だ。
しかし、この掃除もなかなかすごい話だ。エリスの国では、家畜小屋に牛の糞があふれて、国中がくさかった。ヘルクレスはこの大量の糞を一日で掃除しなくてはならなかった。もし一日で済まなければ一生奴隷として小屋の糞掃除をしなくてはならなかったのだ。
そこで、ヘルクレスは、河の流れを変え、小屋の中に水を引き込んで、一瞬で掃除を済ませてしまったらしい。そりゃあ、小屋はきれいになったろうが、中の牛もきれいさっぱり無くなってしまったのではないだろうか?それでいいのか、英雄さんよ。
7.トラキアのディオメデスのメス馬
人食い馬の退治の話だが、その前後の話が有名である。馬退治の道すがら、ヘルクレスはアドメトスの館に立ち寄る。そこでは葬式が行われていたが、主人は「気にせず、楽しんでくれ」と言うばかりで、誰の死かは教えようとしなかった。
実は、この葬式は、王妃アルケスティスがアドメトス王の寿命を延ばすために自らの命を捧げた為ものであった。ヘルクレスは、酔っ払って大騒ぎしてしまったことを恥じて、「死」を追いかけて格闘したあげく、王妃アルケスティスを死から取り返してしまう。
人食い馬の退治の話は省略。馬を飼っていたディオメデスを餌にして手なずけたようだ。
ヘルクレスはこの後アルゴウタイの遠征に参加するが(とも座、りゅうこつ座、らしんばん座、ほ座、参照。)、連れの侍女がニンフにさらわれて、泣いているうちにアルゴ船においてきぼりをくらう。
また、アリオンの引く戦車に乗って、キュクノスと戦ったりしている。
8.ミノスの雄牛
クレタ島の雄牛は海から現れた美しい牛だった。美しい牛ってどんな牛だったのだろう?。この牛はポセイドンに捧げられるはずのものであったが、クレタ島のミノス王はこっそり隠してしまう。ポセイドンは罰として、王妃がこの雄牛に欲情するという罰を与える。さらにはこの雄牛を凶暴にするというオマケ付き。
王妃パシパエは職人に牛の張りぼてを作らせ、これに入った。そして雄牛と交わって、ミノタウロスという雄牛の頭をもつ子供を作ったりする。
ヘルクレスはこの雄牛をこん棒でなぐって気絶させ、生け捕りにする。なお、ミノタウロスの方は、その後、再度、英雄テセウスに退治される。その話はかんむり座に続く。
9.アマゾンの女王の帯
アマゾン(黒海沿岸)の女王ヒッポリュテの帯をもらいに行く話である。この旅には多くの英雄が同行し、まるでアルゴナウタイの遠征のようだった。
途中で、トロイアと一戦交えた後、アマゾンに着いた。アマゾンは女ばかりの土地で、女達は弓を引くために片方の乳を切り落としていたりする。痛そうだ。
しかし、アマゾンの女達はみなヘルクレスに対して友好的で、帯を素直に渡してくれた。しかし、ヘラの策略で、やっぱり一戦交えることになってしまう。
帰りは帰りで、やっぱり一戦交える。しかも、レスリングを楽しんでいるうちに戦争になってしまった、という下らない理由で。この時、ヘルクレスは負けてしまう。そこで、ヘルクレスは女装して女奴隷として身を隠す。そして、父ゼウスが助け出してくれるまでこっそりと暮らした。
10.ゲリュオネウスの牛
又、牛である。しかも、今回は牛の群れである。
まずは、ヘルクレスは西の果てジブラルタルへ向う。この途中で、「ヘルクレスの柱」(現在のジブラルタルとセウタの断崖)を立てたりする。
ヘルクレスはゲリュオネウスの牛の群れを、首尾よく、奪う。しかし、帰りが大変だった。ありとあらゆる人や、神や、巨人や、小人や、王様や、怪物が襲ってきた。全部、省略する。
余談になるが、途中で一頭の子牛が群れを離れて、シチリアに上陸した。土地の言葉で、子牛はウィタリア。この言葉が、後にイタリアの国名となる。
11.ヘスペリスの黄金のリンゴ
りゅう座の神話を参照。
12.ハデスの犬
冥界の番犬ケルベロスを生け捕りにする話。ケルベロスは、水蛇ヒュドラ(うみへび座)と竜(りゅう座)の兄弟で、この頭が3つあって、胴体と尻尾が蛇という変な犬だった。
ヘルクレスは死者の国におもむき、この犬を素手で捕らえ、地上に戻った。この様な生死を越えた冒険は明らかにルールの侵害だった。このことから、この冒険は最も困難なものだったと言われている。
この冒険の最中に、後にヘルクレスに死をもたらすデイアネイラの父に会ったり、英雄テセウスを救ったりしている。
神話(第三章)
ヘルクレスはさらに遠征を重ね、名声を高めてゆく。またオリュンピアの競技会を創設したりする。しかし、ヘラの送り込んだ狂気の為に、ヘルクレスは妻メガラや子供たちを自らの手で殺してしまう。この家族殺しは十二の偉業の前という説もあるが、もともとは後だったらしい。
ヘルクレスはその後アケオロスと戦って、ディアネイラを新しい妻とする。ある日、ディアネイラがケンタウロスであるネッソスの背に乗って河を渡っている時、ネッソスに乱暴させそうになる。ヘルクレスはすかさず得意の弓矢でネッソスを射殺す。しかし、ネッソスは死ぬ間際にヘルクレスに罠をしかける。ディアネイラに対して自分の血は浮気防止に効くと信じ込ませたのだ。ディアネイラは血を集めて、いつかヘルクレスが浮気しそうになったとき為に取っておいた。
そして最後の日がやってくる。ヘルクレスはオイカリアを攻め落とし、イオレ姫を妾にしようとした。ディアネイラはネッソスの血で染め上げた衣装をヘルクレスに送った。その衣装はヘルクレスの肌を焦がして腐らせ始めた。ディアネイラはそれを聞いて自殺し、ヘルクレスも山の頂に薪を積んでその上に横になり、火を付けさせて自殺した。
ヘルクレスは天上に登り、ヘラの息子となり、ヘラの娘ヘベと結婚し、ゼウスにより星座となった。
星雲星団ツアー
16 41.7 球状星団 NGC6205(M13, Great Cluster in Hercules,
ヘルクレス座大球状星団)
16 44.5 惑星状星雲 NGC6210
16 47.0 球状星団 NGC6229
17 17.1 球状星団 NGC6341(M92)