オーストラリア旅行記 1-3
■3月19日(シドニー観光)
この日は、朝から霧がかかっていて、せっかくのThree sistersも陰も形も見えなかった。しぶしぶKatoombaを出て、Sydney市内へ行った。
さて、宿探しであるが、安くがモットーである我々にとって、ホテルには用はない。あれこれ探し回って、あるドミトリーにたどり着いたのだが・・・
このドミトリーは6人部屋で、すでに2人入っていた。部屋に入ると、一瞬目を疑ってしまうような光景であった。床には、コインが十数枚散らかっており、パスポートまでが転がっていた。女物の服、口紅まであった。いったい何者が泊まっているのやら。旅の質も落ちるところまで落ちたような気がした。
悪いとは思いつつ、床に落ちてたパスポートを拝見した。持ち主は、カナダ人男性、21才。後で、このカナダ人男性と出会うのだが、特に人格に決定的な問題ありとは思えなかった。しかし、大事なパスポートを放ったらかすとは、大した度胸である。
彼は高校を卒業したが、大学へは行っておらず、カナダに戻ってから大学に行くそうだ。行ったのかなぁ?彼のここ数週間の出入国の激しさに驚いた。香港、マレーシア、シンガポール、そしてここ、オーストラリア。次はどこへ行くのやら。
もう一人は、デンマーク人女性、名前はLena。もちろん、女物の服と口紅は彼女のものだった。本物の女性でよかった。オカマだったらどうしようかと思った。
我々の目には、彼女はいかにも遊び人に見えた。隣の部屋の白人男性となかがよかった。2日後、2人がベッドインしているのを横目に我々は部屋をでていくのであった。
みんなダラダラしているので、リュウノスケ一人で市内に遊びに行く。公園で駒の大きさが50cmもある巨大チェスをしていた。しばらく眺める。その後、博物館に行った。シーラカンスのホルマリン付け発見。トリケラトプスの完全骨格発見。なかなか見応えあり。OZ Rock Cafeではゲイのにーちゃんにタバコをせびられる。
その後、他の3人も市内見学に出た。Kings Cross駅に行く途中繁華街があって、昼間っから客引きをやってた。我々を見かけると、ここぞと言わんばかり下品な日本語を発した。はじめはおもしろがって聞いていたが、よくよく考えてみると、その日本語を教えたのは、我々と同じ日本人ではないかと思うと、やっぱり気分が悪い。
Opera Houseに行く。巨大な貝殻を形取ったコンサートホールである。ここで、コンサートを見たわけではないが、何かのカーニバルが開かれていたのでそちらの方を見た。
夕食はメコンという名のカンボジア料理店。豚の煮込みなんかをAU$4でつっつく。
■3月20日(シドニー観光)
グレイハウンドでブリスベンからタウンズビルまで行く予約をしていたが、高いのでデラックスに切り替えることにする。その後、ノブマサオヤジ&リュウノスケの帰国便の延長をリクエストする。2人でアリススプリングスに戻り、次の新月も観測する予定。
■3月21日(ゴールドコーストへ)
Sydney Harbour Bridgeを渡り、一路、Gold Coastを目指す。夕食はマクドナルド。夜中、道を間違えたりしながら、結局、付いたのは夜。そのままSurfers Paradiseのど真ん中の海岸沿いの駐車場で寝る。
■3月22日(ゴールドコースト観光)
Surfers Paradiseの日の出を眺める。美しい。日の出と同時にサーフィンを始める人が居る。えらいこっちゃ。さらに浜辺を掃除する人が出てくる。なーんと金属探知器まで持ってる。合理的で徹底的だ。ホテルに金かけるだけではダメなことを知っている。
Currumbin Bird Sanctuaryへ行く。インコ発見。オウム発見。ペリカン発見!なんてでかい口だ。エミュー発見。カメラを襲われる。コアラ発見。そしてついにウォンバット発見!!うーん全然ウゴカナイ。おまけにカンガルーも居る。オーストラリアに行ったら一度は動物園に足を運びましょう。とても楽しい。
ちなみに、リュウノスケはインコ用の餌付け台を子供の遊具と間違って登る。途中で気づいて降りたが、間一髪で係員に見つかって怒られそうだった。
ゴールドコーストのメインビーチキャンピンググランド泊。
■3月23日(ブリスベンへ)
手続き関係のことばかりをやっていて何かを見たという記憶は乏しい。グレイハウンドのバスをキャンセルし、デラックスコーチを予約する。郵便局からシドニーで買い込んだ土産、本、キャンプ用品等の荷物を日本へ郵送する(Sea male)。ノブマサオヤジ&リュウノスケのAustralia出国延期確定などなど。
ケンタッキーフライドチキンとセブンイレブンで夕食を調達し、BrisbaneのSpring Hill Terraceというモーテル泊。
■3月24日
間違えて買った漂白剤を処分し、チェックアウト。レンタカーを返却。タウンズビルへバスで移動。見事な夕焼けを見る。普通、夕焼けは太陽に近い方から赤−白−青、という順列だが、この日は間になんとも言えない緑色の層があった。
バス中泊。
■3月25日(マグネチック島へ)
早朝にTownsxille着。Accomodation&Informationの双子のオヤジに「金がなくても行ける島ない?」などと聞いて、Magnetic Islandを紹介してもらう。とても親切な人だった。
早速、Magnetic Islandへ向かう。あっと言う間に島に着き(そんなに沖じゃない)、バスで島の反対側へ。Shark WorldのCamp-O-Telというプラスチック製の安っぽい固定テントを借りる。しかし、やたらと密閉製が良く、中は異様に暑い。当然のように海水浴へ。半日泳ぐ。
■3月26日(マグネチック島)
この日も泳いだり、カニを捕まえたりして、浜辺でのんびり過ごす。酔っぱらいのオヤジが泳いで溺れかけていた。
■3月27日(タウンズビル)
タウンズビルへ戻る。こりもぜず、またプールに行って泳ぐ。ここで、悪ガキ2人登場。みんなで同レベルで遊ぶ。
この日の宿はTransit Centre 内のBackpackers。なぜか宿泊客は夜景を見に連れて行ってもらえる。サービス満点。
■3月28日(アリススプリングスへ)
朝からテナントクリーク北のスリーウェーを目指してバスで移動。なんにも無い。自転車が走っていたりする。かなり命がけ。
Mt. Isaで製鉄所らしき工場を見る。いきなり砂漠の真ん中で製鉄。異様だ。
■3月29日(アリススプリングスへ)
夜中過ぎにスリーウェー(Three Ways Roadhouse)でお別れ。アッキィとコウズィは出国の為、Darwinを目指す。一方、ノブマサオヤジとリュウノスケは再度観測の為、Alice Springsを目指す。
昼前には無事にアリス到着。「自由自在」の宿紹介の1番目に乗っているAlice Lodgeに向かう。ここはなにしろ安い。Alice Lodgeに近づくと一匹の犬がすり寄ってきた。実はこの犬はAlice Lodgeの飼い犬でJessicaという。どうも、この犬、遊び相手を捜すため、自主的に客引きをしているらしい。とても賢い。
このJessicaは枝を投げてもらいそれを取りにいくのが大好き。適当な枝を自分で探してきて、自分で器用に折って、我々の靴の上に置くのだ。しかし、宿の中には「Jessicaは心臓病なので、運動させないで下さい、」という張り紙があった。この犬のおかげでアリス滞在に退屈せずにすんだ。しまいには、買い物まで一緒に行くようになった。ついでに言うと、このAlice Lodgeにはヨーグルトの好きな猫も居る。
早速、Alice Springsの町中にある丘"ANZAC Hill"に行ってみる。そこで一人の日本人大学生に会う。彼の話では、「ここ1週間程雨が多くて、Aliceからの道は全て封鎖されて、身動きができなかった」らしい。我々はかなりラッキーだったようだ。
■3月30日
ここでは夜の天体観測が中心の生活となる。昼間はゴロゴロしている。昼間ゴロゴロして出かけない日本人男2人組というのは奇異に見えたことだろう。しかもリュウノスケはマグネチック焼けで皮が剥けるので、部屋はやたらに汚い。でも宿のおばちゃんは文句を言いつつも掃除してくれる。ありがとう。
ここにはありがたいことに共同キッチンがある。当然、自炊。ステーキ、ステーキ。なにしろ肉が安い。しかしこれには落とし穴があった。ノブマサオヤジはオーストラリアに着いて程なく便秘になった。その後、我々の食生活は変化していった。あんまりおいしそうではないが、野菜を食べる。そして、ヨーグルトがレギュラー化していった。
キッチンはAlice Lodgeの社交場。リュウノスケは大阪に半年住んでいた饅頭と緑茶が好きなドイツ人女性に、箸の使い方を誉められたりした。ノブマサオヤジは最終日に不要になった皿を、ナベブタにステーキを乗せていた国籍不明のニーチャンにあげて、洗剤まみれの固い握手をした。
自炊となれば材料。この買い物が楽しい。犬と一緒に出かけて、財布を忘れて、手ぶらで帰るといった事が毎日のように繰り返されてゆく。
夜はまたスバラシイ。なにしろサソリ座あたりの銀河が太い。すばらしい夜空が毎日続く。あんな観測三昧の生活は、もうないのかもしれない。今考えると夢のようだ。
■3月31日
Alice Lodgeの生活はなかなか快適なのだが、なぜか部屋の中に毛虫が多い。退治しても次から次へとやってくる。布団の中にも。どこから来るのか調べているうちに、部屋の前に転がっている丸太というか倒木にいきあたった。ひっくり返してみると無数の毛虫が!ノブマサオヤジはジッポーオイルを倒木に振りかけ、着火。この日以来、我々に安らかな睡眠が戻ってきた。
■4月1日
なにもない。いつものアリスな日。ゴロゴロして、買い物して、夕食作って、星を見ただけ。
■4月2日
Alice Lodgeの前の公園で見知らぬオヤジとフリスビーをする。散歩しているといきなり投げてよこした。まあ、楽しいのだが、こっちの体力も気にせず、どんどん遠ざかっていってしまうので、えらいめにあった。
近所で評判になり始めたのか、観測中に多くの人の訪問を受ける。最初は11歳の女の子と15歳の男の子。なぜか最初はフランス語で話しかけてきた。次に犬の散歩中のにーちゃん。この犬がグランドシートの上に小便されてしまう。
次に来たおやじは酔っていた。彼らはAstronomerを紹介してくれると言って立ち去った。
その後、マサノブオヤジは観測中にタバコが切れてしまいAliceの町をタバコの自動販売機を求めてさまよう。そして当然の様に手ぶらで戻ってくる。オーストラリア到着直後のパースと同じ事をしている。全く学習効果なし。
リュウノスケはオーストラリアに来てからの天体のスケッチが通算100枚となる。Aliceに戻って良かった。
■4月3日
昨日の酔っぱらいオヤジの紹介でAlice Springs Astronomical Societyの老夫婦を紹介してもらう。この夫婦は我々をいつも観測しているポイントに連れていってくれた。ずいぶん郊外まで移動するので、質問すると、「町から出て遠くまで行かなくてはならないのは、世界中同じ。」との答え。まあ、暗さ自体の桁は違っても、やっぱりおんなじ事しているわけだ。
ポイントにつくと、ピラーがニョキニョキ地面から生えている。どうも、主流はフォーク式でシュミカセというスタイルのようだ。この老夫婦もそうだった。日本では追尾精度とかを気にしてドイツ式が主流だが、ここではフォーク式でシュミカセ、ガイドはイージーガイダー。つまりガイド鏡なし。見せてもらった写真は立派なもんだった。SN1987(超新星)、M104、南の極、タランチュラ星雲、NGC5128、ケンタウルスα、ほ座γ星付近、SN1987観測用熱気球等の写真を見せて頂いた。ここで、老夫婦の話してくれたアボリジニの星に関する伝説を。
−最も大きな鳥ー
コールサック(石炭袋)は暗黒星雲で銀河に開いた穴のように見える。ちょうどサソリ座が昇る頃、コールサックの口が横を向く。アボリジニはこれをエミューの頭にたとえた。ケンタウルスのαとβは首。南十字星はとさか。アンタレス付近が尻尾。ザソリ座の下半分は右足と左足。胴体の殆どは銀河の暗黒帯で形作られている。だからエミュー。まるで走っているようである。
■4月4日(ダーウィンへ))
いよいよAlice SpringsからDarwinへ出発する日である。部屋の中に山と積まれたchweppes, Deep Spring, XXXX, SWAN, Victoria Bitter, Foster's,
EMU Export, Melbourne Bitter, Carlton Draught等の缶をを片づける。また、長距離バスだ。でも、もう慣れたもの。
■4月5日(ダーウィン)
Darwinに到着。町中で土産物を買ったり、Choku氏のTake Away店でまた昼飯を食べたりする。土産物の中にはクラブへの土産のビール醸造セットが入っていた。税関で申告したら、持ち込む事自体は問題ないそうだ。ただし醸造すると酒造法違反らしい(1989当時)。その後、某大学の某サークルでは怪しげなビール作りが始まることとなった。
一ヶ月前よりも激しいスコールを本屋でやり過ごしながら、スコールで塗れることなんか全く気にしていないオーストラリアンを眺めた。
真っ赤な熱帯の夕焼けの中、宿に戻り、煮立った鍋の夢を見ながら汗だくで寝る。
■4月6日(出国)
早朝に出国。ブルネイ経由で香港到着。エアポートのインフォメーションで宿の紹介と予約をしてもらう。ノブマサオヤジはくたびれていたので、リュウノスケ一人で食事。アヒルのミズカキのココナッツ煮なんぞを食べる。
■4月7日(香港)
朝は粥。昼はマクドナルド。香港天空館(プラネタリウム)を見る。チョンキンマンションの側だけ眺める。トイザラスという巨大玩具屋を発見する。その規模にちょっと驚く。(当時はまだ日本には無かった。)ロシア語選択のリュウノスケは「トーイズイアアス」と読んでいた。
なぜか香港人にやたらと広東語で道を尋ねられる。
夕食は高級レストランへ。頼みすぎる。同席のイギリス人は更に頼みすぎている。エビチリとスブタを分けてもらう。
■4月8日(帰国)
無事に帰国。